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2016/05/09

ワンダーリューキュー流ビジネス対談『ワン談』

ゲーム音楽とCM音楽の可能性とは?

 

極めて商業的で目的のあるジャンル、ゲーム音楽とCM音楽の可能性。

数々の音楽を共に作りあげてきた、来兎さんとワンダーリューキュー社長の鶴田が語り合った。

 

【今回のゲスト】来兎(ライト)さん

沖縄県沖縄市出身の作曲家。音楽制作会社:株式会社リサレコの代表取締役を務める。

ゲーム音楽だけでなくアニメ主題歌・CMソング・社歌製作など幅広く手がけている。

すべてはゲーセンからはじまった

鶴:僕らはゲームミュージックが生まれた時代の世代じゃないかなって。それまでのゲームって効果音だけだったと思うんですよね。

来:そうですね、YMOとかそういう人達が「ゲーム音楽」ってすごいっていうのを言ってくれて、あの頃はまだレコードですね、レコード化された時期です。

鶴:ゲーム音楽を坂本龍一さんとかがアレンジしてレコード出してたのを聞いたことがあるな。今でもやっぱり「マッピー」とか「ゼビウス」「ドルアーガの塔」など特にナムコは曲覚えてる。

 

ゲームソフト

【マッピー紹介動画】https://youtu.be/qnnppcKEP4U  【ドルアーガの塔紹介動画】https://youtu.be/0_KQ_a1ea1g

 

 

来:やっぱりあの頃の人達って、”レジェンド”なんで。「マッピー」の曲つくったのが大野木さんて方なんですけど、この「マッピー」ってファミコンと同じような、ピコピコした音なんですけど、バックで鳴ってる音がバンジョーに聞こえてくるんですよ。ちゃんと弦楽器っぽく聞こえてくるってのがすごいなと思って。それと「ドルアーガの塔」の始まるときのファンファーレ聞いた時、すごいって思って。

鶴:確かにあれはかっこいい。

来:ゲームセンターから入ったんですけど、ゲームセンターでやった音を聞いて感動したので、その後ファミコン版を買ってみたら…。

鶴:(音が)しょぼい!

来:そうなんですよ(笑)ファミコンの「ドルアーガの塔」が出た衝撃は”音がしょぼい”でした。

鶴:ゲーセンのゲームの音って、音響も筐体に入ってるのもあって、いわゆる現場ですごい響いてて良かったんだけど、それだけにファミコン版との音の差ってすさまじかったよね。

来:ファミコンって音が弱いんですよ。3音+ノイズ音の4音しか出ないんですけど、アーケード版の「ドルアーガの塔」って8音あるんですよね。ファミコンと違って(8音を出す為に)ナムコPSJっていう特殊なチップを積んでいて、ナムコが自分で音源つくっているんです。音に厚みを出す為にいろいろやってる、音楽にこだわっている会社だったんですね。

鶴:ナムコはゲームミュージックのレコードとかあったね。

来:ナムコ・ゲームサウンド:エクスプレス全部もってます(笑)。 その頃からゲームミュージックのCDとかもどんどん出てきて、90年代の前後ってゲームミュージックのCDがすごい出てたんですよね。それまでのピコピコした音から、積んでいるチップが変わって、ヤマハのDX-7っていう革命的なシンセサイザーがあって、その廉価版ではあるんですけど、これがゲーム機にのっちゃった。ベルの音とか結構綺麗になって、効果音が今までと違うクオリティになった。考えるとびっくりするのが、ファミコンからプレイステーションまでが10年なんですよね。PS3からPS4って9年なんですよね。

鶴:すごいね、進化のスピードが。

来:恐ろしいですね。

鶴:ゲームの中の音楽って、最初は役割がそんなになくて効果音ぐらいのだったのが、だんだん注目されていって、その為のチップを積んだりとかしたってのは、ゲームにも完成度の高い音楽のニーズが生まれてきたってことだよね。

来:音楽って、気づくと耳に入ってるんです。CMの音楽についてもそうなんですけど、音楽って実は潜在能力がすごい高い。それがわかってもらいにくい理由は、音楽があまりにも短すぎるからわからないんじゃないかなって思うんですよね。

鶴:なるほど。CMだと15秒。

来:ゲームの音楽もそうなんですけど、あんまり音楽って予算もらえないんですけど、やり方によっては音楽で人を振り向かせることが出来るし、なんで出来るかって、画を見てなくてあっちを向いていても、音は耳に入ってくるじゃないですか。もっとうまく出来ればいいのにって思いますね。

 

 

店員と仲良くなってゲームの仕入れを手伝ってました

来:高校時代はゲーセンに行く為に高校行ってました。

鶴:(笑)

来:学校行って終わったらすぐゲーセンに行って遊んで、遊び倒して帰るっていう。ただ遊んでただけじゃなくて、遊びすぎたらゲームセンターの店員と仲良くなって、いつのまにかゲームの仕入れをしてたんですよ。

鶴:へぇー!

来:お店の人に「今度はこのゲームがいけるよ」とか言って、(お店が)購入した基盤を自分が筐体に入れたりとか。このゲームセンターがなくなると行く場所がなくなるので、必死にこのゲームセンターが儲かる方法を考えるんです。

鶴:自分の場所を守るために経営に参画したと。

来:もっと儲かってもらわないと困るので、25万の基盤を買わせてしまった、25万を回収するのはお金がかかるから、3千円の安い基盤ですぐに回収できるゲームも入れようとか、中古の安い基盤でパズルゲームを買って、周りに「このパズルゲーム面白いよ」って広めてヒットさせたりとか。

鶴:その頃の主流だと「ストリートファイターⅡ」?

来:そうですね。すごいハマって。「ストⅡ」だけじゃなくその後のシリーズも全部遊びましたね。

鶴:「ストⅡ」の他にはどんなゲームがあったの?

来:「ストⅡ」が出た影響で、他のゲームも格闘ゲームに偏ったんですよね。「鉄拳」とか。

鶴:あぁ「バーチャファイター」とかか。

来:あとは「サムライスピリッツ」とか「餓狼伝説」とか、どのメーカーも格闘ゲームを出してて。今までのシューティングゲームとかって、うまい人がやると30分とか1時間とかもっちゃって、台を占領してたんですね。格闘ゲームは対戦なので5分で終わるんですよ。

鶴:回転率がいい。

来:そうなんですよ。だからお店側も格闘ゲームばっかりを置くようになっちゃって。良くも悪くも…。

鶴:確かに、その頃からシューティングだいぶ消えたよね「グラディウス」とか「ダライアス」とか。

来:シューティングに限らず、格闘ゲームがのびすぎて、他のジャンルをつぶした面もあるんですよ。まあ、その格闘ゲームで遊んでたんですけど、曲も良かったんですよね。その曲を聞いて、家のパソコンで打ち込んでみたりして。

鶴:音制作をやりはじめたんだ。

来:その前にも「ドルアーガの塔」が好きだったので、小学校4年の時にはパソコン持っていて、音出して遊んでましたね。中学になって新しいパソコンを買って、高校3年まで6年間、曲を作ったりして遊んでました。

 

 

音楽が主人公になったゲーム”音ゲー”

鶴:90年代になって音楽が主人公のゲームができましたよね。「ビートマニア」とか。

来:ゲームセンターだとそうなりますけど、その前に「パラッパラッパー」がありましたね。

鶴:あったね。プレステだ。

来:そこが、”音楽ゲーム”という芽が出た時期だと。

鶴:「パラッパラッパー」はめちゃくちゃ面白かったし、デザイン的にも衝撃だったよね。

来:その後「ビートマニア」がゲームセンターでヒットして、その流れっていうのは今でも続いていて、音ゲー市場は一大市場になっています。JAEPO(ジャパン・アミューズメント・エキスポ)でも新作がいくつも出てますね。

鶴:最近ゲーセン行くとすごいのあるよね。あの筐体が丸くなってる…。

来:「maimai」ってやつですね。洗濯機って呼ばれています。

鶴:確かに洗濯機(笑)あれすごいよね。どこ行ってもある。

来:ありますね。

鶴:ゲームは昔からそこそこ好きで、ビートマニアも専用コントローラー買ってやったり、「ダンスダンスレボリューション」もマットも買って家でやるくらいハマったんだけど、今ってなんかすごい達人しかいなくて、(新しい音ゲーに)入りきれないですよ。

来:そこなんです。格闘ゲームも音ゲーも、うまい人達が多すぎて、これから入る人達が入りにくくなっちゃったっていう問題があるんですよね。

鶴:ライトユーザーはスマホゲームに流れちゃて、アーケードはマニアック度が進行しすぎてマニア市場になっちゃったと。

来:入り口はどうにかしないといけないなって思います。

鶴:そうね。楽しさのものさしって強烈なスピードとかの難易度だけじゃないもんね。

来:あくまでもゲームなので、楽しんで欲しいですね。特別うまくなる必要はなくて、下手でも、どっちも楽しんでることには変わりないですよ。

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沖縄で仕事はないと思ってました(笑)

鶴:沖縄に帰ってきてからは格闘ゲームの音楽がメイン?

来:東京にいた時に関わってた人達とのつながりがあるので、かれこれ20年くらい格闘ゲーム作ってますね。

鶴:今は仕事を沖縄を拠点にやってるじゃないですか。沖縄でやっていて困る事とか、逆にいいところってありますか。

来:いいところ…というよりも、正直、沖縄で仕事は発生しないと思ってたんで(笑)

鶴:東京の仕事を沖縄でやろうって感じだったの?

来:もともとそのつもりでしたね。沖縄を離れたきっかけ自体が、上京する前、沖縄のCM音楽とかの制作はどこかの会社が牛耳っているっていう話を聞いた事があって、それなら沖縄から出ようと思って。戻っても沖縄で仕事はないもんだと思っていました。それこそ、鶴田さんから声がかからなかったら、CMソングとか沖縄の仕事をやってなかったんじゃないかなと。

鶴:いや僕の案件だけでも相当作っていただいてます。

来:うれしいですね。

鶴:来兎くんの場合は高校の時にアーケードゲームの基盤の購入をしたりとか、ゲームミュージックの制作とか、商業的な音楽をつくることの意味や苦労がわかっているから、CMソングの制作をお願いしやすい。こちらが意図している部分を理解してくれるし、言わなくても狙いをわかってくれて、考えていた以上の作品を作ってくれる。それがクライアントに喜んでもらえているところなんだよね。

来:ありがとうございます。

 

 

1歩でしゃばるくらいが丁度いい

鶴:音楽制作で意識していることは?

来:学生の頃、ゲームミュージックの本のインタビュー記事で、「ゲームミュージックの音楽っていうのは、最初の何秒かで吸い込まないとダメだ」って言うのを読んで、「すげぇ!」「そうなんだ!」って思ったのが今の考え方のベースになってますね。あとは、もともと僕自身がゲームミュージックが好きなのでCDを買ってたんですけど、なんでそれを買うのかって考えたら、ゲームをやらなくても音楽だけで聞く価値があるんだっていうのに気づいたんです。だったら、そのぐらいの(クオリティの)音楽を作ればいいんじゃない?って思ってやっています。

鶴:なるほど。

来:僕はゲーム音楽がBGMって思ってないんですよ。BGMってあくまでもバック・グラウンド・ミュージック、背景として盛り上げるものなので、僕はゲームを盛り上げつつ、1歩でしゃばった、音楽だけでも商品になるものを作ろうと思って制作していますね。

鶴:確かに、今まで制作してもらったものもそうだけどCMソングもほどんど主人公になっているよね。

来:結果としてそれがみんな得をすると思うんですよ。控えめにってやるよりも、映像も1歩でしゃばる、音も1歩でしゃばるぐらいのほうが、結果として一番いいバランスになるんだというのが、僕が思っていることなので、そういう理解、共通認識として考えられる人と一緒に仕事やりたいなって思います。

鶴:今は CMソングが多くなりすぎてて、TVつけてCM見るとほとんどCMソングだらけ(笑)、その中でもちゃんと来兎くんがつくった曲は目立っててくれてます。

来:ありがとうございます。

鶴:やっぱりCMソングからはじまって、売れるぐらいまで行きたいね。

来:そうなんですよね、CMソングが売れるくらいのクオリティであったほうが、理想だと思います。それと大事にしているのが、しっかりと聞く人に音が届くかっていうところで、よくあるんですけど、CMソングを作っているのに、音の収録環境が悪くてしっかりと聞こえないっていうのがあって、あれはもったいないなって思いますね。作るならちゃんと録ってあげたほうがいいのにって。

鶴:安易に考えるとそうなっちゃうよね。レコーディング大事だね。

来:どんなに良い歌でもこもっててて聞こえないなら伝わらないし、優先順位としては曲の善し悪しよりも、相手に音が届くかがまず最初。曲があんまりでも、歌い手の数でカバー出来たりするので(笑)そういうことばっかり考えていますね。

 

<鶴田の感想>

様々なジャンルの音楽に詳しく、ゲーム、アイドル、ボカロまで、沖縄を拠点に幅広い音楽を作り続ける来兎くん。最近ではスマホの人気タイトルも手掛ているとのこと。鶴田的には沖縄の3大天才のひとりと勝手に思っています。こんな人と一緒に面白い仕事ができるのも沖縄の魅力といえるのではないでしょうか!

 

 

<テレビアニメ:はいたい七葉「ゆいまーる★わーるど」 >作曲:来兎 作詞:鶴田